The Barley Diary

2025/06/14 17:25

麦の袋を車にぎゅうぎゅうに積み込む。想像以上に重く、かさばる。
トランクだけでは入りきらず、後部座席まで埋め尽くした。

目的地は、佐賀。
瀬戸大橋を渡り、本州を横断し、関門海峡を越えて、さらに西へ。
約7時間のドライブだ。

着いたのは、工場地帯の一角。
広い敷地の奥に、目指す建物があった。
事務所らしき扉を開けると、笑顔で迎えてくれたのは、松本社長と醸造長の多田隈さん。
初対面とは思えないほど、あたたかく迎えてくださった。

早速、施設の中を案内していただく。
ブルワリーには、整然としたタンクが並び、
別の倉庫には、巨大なドラムが2台、ズンと構えていた。

これが、麦芽製造機か。

早速、持ってきた麦を全部どさどさっとドラムに投入した後、
タンクに水を張り、麦を水に漬ける。

その後、麦が酸素を吸えるように「浸水→ドライ→浸水」を数時間ごとに繰り返す必要がある。

夜遅い時間の作業も、早朝の作業も、多田隈さんはつきあってくれた。
背中は大きくて頼もしく、なんだかクマみたいにとても優しい人だった。


2日目の朝。
タンクをのぞくと小さな白い根が、ちょこんと出ている。
少しホッとする。

聞けば、やはり気温のせいか、普段よりも発芽のスピードが早いという。
順調ではあるけれど、逆に温度が高すぎてカビが発生しないかが心配になる。


3日目、朝から大雨。
気温も下がり、日中でも20度に届かない。
麦にとってはちょうどよく、気がかりだったカビのリスクも少し下がった。

ラッキーだ。

夕方、麦の根は1センチほどに。
 殻を割って中を確認すると、芽もきちんと伸びている。


これで発芽は完了。
無事に乾燥に進むことができる。

今回の一番大きな山を越えた。
胸の奥で小さく息を吐いて、静かに安堵した。

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