The Barley Diary

2025/06/13 20:48

ポン麦そのままでもおいしいのだが、
でもせっかくなら、ウイスキーに合うようなポン菓子を作りたい、
そう思って、いつも頼りにしている「寧日(ねいじつ)」さんのところへ相談に行った。

寧日さんは、ふだんはお店でビーガン中心の食事を提供しているが、
時々、イベントにも出店していて、グラノーラやスコーンなどの焼き菓子も手がけている。
以前、私が関わった美術館でのイベントでも出店してくれて、その時もとても大好評だった。
試食させてもらったグラノーラは、甘くてコクがあって、ほっとする味がした。

コクの秘密は、甜菜糖に加えて、玄米水飴を使っているのだそう。
瓶の裏の成分表示には「玄米、麦芽」の文字が。

……あれ? と思う。
それは、私が麦芽づくりを教えてもらった「ぎょうせん飴」とまったく同じだった。

こんなところでまた、麦とつながるなんて。

早速、ぎょうせん飴を使ってキャラメリゼしてみる。香ばしい麦と、麦芽糖のやさしい甘さがふわっと重なる。
これが、私たちが“つくる理由のある”ポン菓子だと思えた。


まずは基本となる味がひとつできた。
でもせっかくなら、ウイスキーと合わせたときにふっと広がるような、そんな味もつくりたいと思った。

ひとつは塩味。もうひとつはチョコ。なんとなくそんなイメージがあった。

チョコは甘すぎず、大人っぽく。カカオパウダーでコーティングして、さらにカカオニブを重ねて、少しだけビターな仕上がりにした。

塩味のほうは、寧日さんの提案で、ローズマリーと合わせることに。
試食してみると、塩気とハーブの爽やかな香りが立ちのぼり、ハイボールとすごくいいペアリングになった。

じつはこのレシピ、もともとはあるブルワリーさんのために開発したものだという。

まだクラフトビールが今ほど知られていなかった十数年前、私も、そのブルワーさんから直接飲ませてもらったビールの味はもちろん、語ってくれた話がとても印象的だった。
素材とどう向き合うか、手作業の意味、デザインの力、そして、なぜそれをつくるのかという物語のこと。

当時はまだ、大手のラガーが当たり前で、ビールという飲み物にもこんなにストーリーがあるのかと感激したのを、今でもよく覚えている。

まさかあの頃の自分が、麦を育てて、ウイスキーをつくるようになるなんてほんの一ミリも思っていなかった。

麦芽糖だけの「Pure Barley」 、ビターに仕上げた「Bitter Cacao」、そして、塩気とローズマリーが香る「Salt & Rosemary」 
この3つのフレーバーが出来上がった。

名前はウイスキーの原料でできたパフ。”PUFFSKY(パフスキー)”に決まった。

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