Field “Tasting” Notes

2025/02/02 20:41

年の瀬のある日。麦芽作りが始まるという知らせを受け、私は再び三原飴店を訪れた。

普段は飴を炊く釜を、この時期だけ麦を発芽させるために使う。たっぷりと水を吸った麦は、数日かけてふっくらと膨らみ、やがて、ざるで水を切り、木箱へと移される。
その上から、やわらかなむしろをそっとかけ静かに見守る。順調ならば、1週間足らずで、小さな芽をのぞかせる。

作業を終えたあと、木箱の中でじっと芽吹きを待つ麦をのぞき込みながら、
期待と不安の入り混じった気持ちを胸に、この日は店を後にした。

正月三が日。いよいよ発芽した麦芽を取り出す日がやってきた。

三原飴店の飴作りは、代々「姑から嫁へ」と受け継がれてきた。
この日も、店主の息子さんのお嫁さんと一緒に作業を行った。

麦を入れた木箱の蓋をそっと開けると、中にはふっくらとした麦芽が広がっている。
手に取るとほんのりと温かく、活性化された酵素のせいか、触れた指先がじんわりと潤う。
麦の息吹に触れたような気がした。

取り出した麦芽は、むしろの上に広げて天日に干し、約1週間かけて水分を飛ばしていく。
その後、仕上げに乾燥機へ。

作業を終えたあと、ご主人が長年使い続けてきたむしろを、いくつか譲ってくださった。
「次は、自分で発芽させた麦芽を持ってきます」
そう約束して、私は店をあとにした。

自分の麦芽作りがいよいよはじまる。ウイスキー造りが少し現実味を帯びてきた。

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