Field “Tasting” Notes

2025/01/09 15:00

 毎年、初詣はイサム・ノグチが工房を構えた庵治の山にある八栗寺を訪れる。ここは、四国八十八ヶ所巡礼、いわゆるお遍路の85番札所でもある。

正月らしい賑わいと山の静けさが入り混じる坂道を上っていくと、冷たい空気にさらされていた体が、いつの間にかじんわりと温まってくる。

本堂に着くと、手を合わせ、いつものようにお願いをする。「今年も穏やかに過ごせますように」。
今年はもう一つ、「麦が無事育ち、ウイスキーができますように」も、忘れずに。

初詣のあとの昼ごはんは、山田屋のうどん。これも毎年のルーティン。香川では年越しそばではなく「年越しうどん」が定番。正月が明けても、やっぱりうどんだ。山田屋は、自分にとって「ちょっとおめかしする時のうどん屋」。県外からのお客さんや親戚が集まったときに行く、ちょっと特別な場所。
(ちなみに、「アトラクションとしてのうどん屋」も用意してあるけれど、それはまた別の機会に書きたいと思う。)

帰り道、ふと思い立って畑に寄ってみた。

一週間前には何も変わりなかったはずの景色が、今日は違って見える。しゃがんで目を凝らすと、小さな芽がちょこんと頭を出しているのが見える。その中に、一部分だけ、まるでゴルフ場の芝のように整然と密集して芽吹いている場所があった。

思い出した。

トラクターを運転しているとき、慌てていて、種まきのスイッチを切り忘れてしまった場所だ。
整然と生えそろったその姿に、自然の力と自分のミスが織りなす、ちょっとした偶然の芸術に、思わず笑ってしまった。

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